「幼い孫のために、学費に使えるよう現金を生前贈与したい」という相談を受けることがあります。
相続税の対象となる財産の圧縮効果があるとともに、孫への財産の移転なので、二次(配偶者)・三次(子)の相続の際も、相続税の対象となる財産に含まれないことになるので、お孫さんへの贈与は相続税対策として魅力があります。
税金に関することは税理士の専門領域のため、司法書士・行政書士としては一般論として回答するしかないのですが、このようなケースで使える制度としては、次のものがあります。
1.直系尊属からの教育資金の一括贈与
祖父母、父母などの直系尊属から30歳未満の子や孫へ、教育資金を贈与する場合、最大1500万円までが非課税となる制度です。
しかし、この制度は使い道に制限があり、用途ごとに使用状況を記録しなければなりません。
さらに、領収書等の保管し、引き出す都度、領収証等を金融機関に提出することになるので、煩雑な事務手続きが発生します。
また、受贈者が30歳に達するなどにより教育資金口座の契約が終了した時点で、未使用の残額がある場合には、残額によっては贈与税が課税されることになります。
▶直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税(国税庁タックスアンサー)
2.相続時精算課税制度の適用を選択しての贈与
60歳以上の父母等から18歳以上の子孫等である推定相続人※や孫へ財産を贈与する場合に選択できる制度です。
※ 現時点で被相続人が死亡した場合に相続人となる人のことを「推定相続人」といいます。
この制度を選択すると、贈与時に贈与税がかからず、相続時に贈与財産と相続財産を合算した上で相続税を計算します。
被相続人から受贈者に対して、生前に贈与された財産のうち2500万円が非課税になります。
さらに、今年2024年1月からは、年間110万円の基礎控除が新たに設けられ、今年からは「相続時精算課税制度」を利用することが最もメリットが大きくなっています。
なお、最初に贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に一定の書類を添付して税務署に「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。
これまで、あまり相続時精算課税の利用に二の足を踏むことが多かったのは、一度適用を選択すると、その贈与者(「特定贈与者」といいます)との関係では、通常の「暦年課税」に戻すことはできないこという理由がありました。
しかし、次の”暦年贈与”と同様に年間110万円の基礎控除が設けられたことや、相続税の持ち戻し期間が3年→7年に伸長されることからも、受贈者が成人であれば、生前贈与で相続税対策するなら「相続時精算課税」を選択することをお勧めします。
▶相続時精算課税の選択(国税庁タックスアンサー)
3.暦年贈与
贈与税には年間110万円の基礎控除があり、受贈者側が受ける贈与が年間110万円以内であれば贈与税がかかりません。この基礎控除を利用して、毎年110万円以内で贈与を繰り返す方法です。
最近の税制改正で、相続税の持ち戻しの期間が、現行の3年から2031年にかけて7年に変更されます。
この「相続税の持ち戻し期間」とは、
ここで注意が必要なのは、次の2点です。
① ”定期贈与”と判断されて、贈与済み全額に対して贈与税が課税されてしまう
”定期贈与”とは、あらかじめ「1000万円を10年に分けて贈与する」と取り決めた上で行われる贈与のことをいいます。
この”定期贈与”とみなされてしまうと、例えば、毎年100万円ずつ10年にわたって贈与した場合に、最初から1000万円(100万円×10年)の贈与をする意図があったものとみなされ、贈与の初年度に1000万円全額の贈与があったものとして課税されてしまいます。
”定期贈与”と判断されないように、次のようにしておくことが一般的なようです。
作成する「贈与契約書」は簡単なもので良いのですが、”受贈者側の贈与を受ける意思”を記録に残すため、贈与者が受贈者に対して差し入れるいわゆる「贈与証書」では足りず、受贈者側も署名・捺印をする方式で作成する必要があります。

②「名義預金」として、相続税が課税されてしまう
「名義預金」とは、口座の名義は孫であってもその実質的な管理者は祖父であり、その拠出金を祖父が出しているケースのように、お金の所有者と口座の名義人が異なる預金のことをいいます。
たとえば、「贈与者は自分の財産を贈与した意思を持っていても、受贈者側が通帳作成の事実を知らない場合」や「その事実を知っていても預金を自由に出し入れできない場合」などには、実質的には贈与者に預金が帰属しており、預金名義を借りただけの”名義預金”であり、贈与がなかったものとして相続税の課税対象の財産にされてしまいます。
つまり、お孫さん名義の銀行口座を作って、そこに毎年110万円ずつ入金するだけでは、税務署から”名義預金”として、相続税が課税されてしまうことになります。
税務署が”名義預金”か否かを判断するポイントは、以下の通りです。
そこで、税務署から”名義預金”と認定されないための主な対策としては、次の4つの点を意識しておく必要があります。
◆暦年贈与と相続時精算課税の比較
最後に「暦年贈与」と「相続時精算課税」の比較を挙げておきます。
相続税の対象となる財産の圧縮効果があるとともに、孫への財産の移転なので、二次(配偶者)・三次(子)の相続の際も、相続税の対象となる財産に含まれないことになるので、お孫さんへの贈与は相続税対策として魅力があります。
税金に関することは税理士の専門領域のため、司法書士・行政書士としては一般論として回答するしかないのですが、このようなケースで使える制度としては、次のものがあります。
- 直系尊属からの教育資金の一括贈与
- 相続時精算課税制度の適用を選択しての贈与
- 暦年贈与
1.直系尊属からの教育資金の一括贈与
祖父母、父母などの直系尊属から30歳未満の子や孫へ、教育資金を贈与する場合、最大1500万円までが非課税となる制度です。
しかし、この制度は使い道に制限があり、用途ごとに使用状況を記録しなければなりません。
さらに、領収書等の保管し、引き出す都度、領収証等を金融機関に提出することになるので、煩雑な事務手続きが発生します。
また、受贈者が30歳に達するなどにより教育資金口座の契約が終了した時点で、未使用の残額がある場合には、残額によっては贈与税が課税されることになります。
▶直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税(国税庁タックスアンサー)
2.相続時精算課税制度の適用を選択しての贈与
60歳以上の父母等から18歳以上の子孫等である推定相続人※や孫へ財産を贈与する場合に選択できる制度です。
※ 現時点で被相続人が死亡した場合に相続人となる人のことを「推定相続人」といいます。
この制度を選択すると、贈与時に贈与税がかからず、相続時に贈与財産と相続財産を合算した上で相続税を計算します。
被相続人から受贈者に対して、生前に贈与された財産のうち2500万円が非課税になります。
さらに、今年2024年1月からは、年間110万円の基礎控除が新たに設けられ、今年からは「相続時精算課税制度」を利用することが最もメリットが大きくなっています。
なお、最初に贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に一定の書類を添付して税務署に「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。
これまで、あまり相続時精算課税の利用に二の足を踏むことが多かったのは、一度適用を選択すると、その贈与者(「特定贈与者」といいます)との関係では、通常の「暦年課税」に戻すことはできないこという理由がありました。
しかし、次の”暦年贈与”と同様に年間110万円の基礎控除が設けられたことや、相続税の持ち戻し期間が3年→7年に伸長されることからも、受贈者が成人であれば、生前贈与で相続税対策するなら「相続時精算課税」を選択することをお勧めします。
▶相続時精算課税の選択(国税庁タックスアンサー)
3.暦年贈与
贈与税には年間110万円の基礎控除があり、受贈者側が受ける贈与が年間110万円以内であれば贈与税がかかりません。この基礎控除を利用して、毎年110万円以内で贈与を繰り返す方法です。
最近の税制改正で、相続税の持ち戻しの期間が、現行の3年から2031年にかけて7年に変更されます。
この「相続税の持ち戻し期間」とは、
ここで注意が必要なのは、次の2点です。
① ”定期贈与”と判断されて、贈与済み全額に対して贈与税が課税されてしまう
②「名義預金」として、相続税が課税されてしまう
②「名義預金」として、相続税が課税されてしまう
① ”定期贈与”と判断されて、贈与済み全額に対して贈与税が課税されてしまう
”定期贈与”とは、あらかじめ「1000万円を10年に分けて贈与する」と取り決めた上で行われる贈与のことをいいます。
この”定期贈与”とみなされてしまうと、例えば、毎年100万円ずつ10年にわたって贈与した場合に、最初から1000万円(100万円×10年)の贈与をする意図があったものとみなされ、贈与の初年度に1000万円全額の贈与があったものとして課税されてしまいます。
”定期贈与”と判断されないように、次のようにしておくことが一般的なようです。
- 毎年の贈与の金額・時期を変える
- 毎年、贈与契約書を作成する
作成する「贈与契約書」は簡単なもので良いのですが、”受贈者側の贈与を受ける意思”を記録に残すため、贈与者が受贈者に対して差し入れるいわゆる「贈与証書」では足りず、受贈者側も署名・捺印をする方式で作成する必要があります。

(贈与契約書の一例)
②「名義預金」として、相続税が課税されてしまう
「名義預金」とは、口座の名義は孫であってもその実質的な管理者は祖父であり、その拠出金を祖父が出しているケースのように、お金の所有者と口座の名義人が異なる預金のことをいいます。
たとえば、「贈与者は自分の財産を贈与した意思を持っていても、受贈者側が通帳作成の事実を知らない場合」や「その事実を知っていても預金を自由に出し入れできない場合」などには、実質的には贈与者に預金が帰属しており、預金名義を借りただけの”名義預金”であり、贈与がなかったものとして相続税の課税対象の財産にされてしまいます。
つまり、お孫さん名義の銀行口座を作って、そこに毎年110万円ずつ入金するだけでは、税務署から”名義預金”として、相続税が課税されてしまうことになります。
税務署が”名義預金”か否かを判断するポイントは、以下の通りです。
【名義預金か否かの判断ポイント】
- 名義となった孫(未成年者の場合は、親権者)が、その預金の存在を知っているか
- その名義預金の原資は被相続人の財産や所得ではないか
- その名義預金を作成された経緯を知っているか
- 金融機関の手続きを行った者は誰か、誰の筆跡か
- その預金の実質的な管理者は誰か、その銀行印の管理は誰か
- 贈与があったならばその時期、贈与税申告の有無
そこで、税務署から”名義預金”と認定されないための主な対策としては、次の4つの点を意識しておく必要があります。
- 贈与契約書を作成して贈与者・受贈者間で贈与の意思があったことを記録に残しておく
- 振込みを利用するなど、贈与が行われたことを明確にする
- 通帳の管理を口座名義人(未成年者の場合は親)自身が行えるようにしておく
- あえて基礎控除を超える額の贈与を行い、毎年贈与税の申告を行う
◆暦年贈与と相続時精算課税の比較
最後に「暦年贈与」と「相続時精算課税」の比較を挙げておきます。
| 暦年贈与 | 相続時精算課税 | |
|---|---|---|
| 贈与する人 (贈与者) |
条件なし | 60歳以上の両親または祖父母 |
| 贈与される人 (受贈者) |
条件なし | 18歳以上の子、孫 |
| 贈与税の非課税枠 | 年110万円 (贈与される人ごと) |
累計2500万円+年110万円の基礎控除(贈与される人ごと) |
| 贈与税の税率 | 年110万円を超えた額に対して10~55% | 累計2500万円をこえた額に一律20% |
| 相続発生時の精算 | 相続発生の3~7年前※までの贈与は相続財産に加算(持ち戻し) ※ 2031年にかけて段階的に伸長 |
贈与分のうち基礎控除を除く額を相続財産に加算(年110万円の基礎控除については持ち戻しなし) |
| 注意点 |
|
一度選択すると暦年贈与は使えなくなる |