専門学校卒などの留学生、国内就職しやすく 専攻限らず

出入国在留管理庁は29日、専門学校や短期大学などの留学生が卒業後に日本で就職しやすくする制度改正を施行した。在留資格に関する告示と運用指針を改正する。外国人材の国内つなぎとめへ制度を見直す。

外国人留学生向けに日本社会の理解につながることを目指す新たなプログラムとして文部科学相が認定した課程を修了した学生らが対象となる。留学生が2分の1以下で、日本人生徒との交流が確保できるといった要件で認める。

認定課程を修了した学生が就職時に在留資格を「留学」から高度人材に相当する「技術・人文知識・国際業務」に変更する際、専攻科目と就業分野の関連性が低くても認める方針だ。

これまでは専攻分野と関連性が高くないと認めておらず、就職先が限定されていた。経済界などから改善要望が上がっていた。

日本語を使って飲食店や工場などで通訳や管理業務の両方を担う場合などの在留資格「特定活動」の対象も広げる。

4年制の専門学校で認定課程を修了した場合や、短期大学や高等専門学校を卒業し、学士の学位を持つ場合を対象とする。従来は大学や大学院で学位を得た場合だけが対象だった。

日本学生支援機構によると、専門学校の留学生は2021年度に3万2000人が卒業した。入管庁は今回の措置により国内で就職する人数はおよそ3000人増えると試算する。留学生が就職をしやすい制度に変えて、国内の人材確保につなげる。
日本経済新聞 2024年2月29日 10:05

一般的に留学生として日本で勉強し、その知識を活かして、日本で就職する場合の在留資格として、「技術・人文知識・国際業務」(技人国)という在留資格のカテゴリーがあります。
内容は以下の通りです。

日本国内の公私の機関との契約に基づいて行う、
  • 理学、工学その他の自然科学の分野(cx.システムエンジュア、設計)に属する技術若しくは知識を要する業務(技術)
  • 法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野(cx.マーケティング、経理)に属する技術若しくは知識を要する業務(人文知識)
  • 外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性(ex.翻訳・通訳、デザイナー)を必要とする業務(国際業務)

もともとは、「技術」と「人文知識・国際業務」に分かれていましたが、大学で学んだ会計学の知識を活かして会計ソフトの開発を行うように、文系・理系の横断的な知識を活かして就職するケースもあり、実態にそぐわなくなってきているため、「技術・人文知識・国際業務」という一つのカテゴリーにまとめられた経緯があります。

なお、技術や知識を要する業務に従事するために、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって日本に在留する場合、業務と技術・知識の関連性が要求されますが、技術・知識は以下のような基準をもって判断されることになっています。

自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務の場合、次のいずれかに該当し、必要な技術又は知識を修得していること。
  1. 当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業
  2. 当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了
  3. 10年以上の実務経験を有すること

1の「関連する科目を専攻して大学を卒業」という要件の場合、専攻科目と従事しようとする業務の関連性については、比較的緩やかに判断されることになっていますが、2の「関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了」という要件の場合には、従事しようとする業務に必要な技術・知識と具体的に関連している科目を専攻していることが審査されてきました。
そのため、1の場合は卒業証書だけで足りるケースでも、2の場合には卒業証書に加えて成績証明書の添付も求められてきたのです。

今後は、専門学校卒の留学生の「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の審査は、大学卒と同程度の判断基準により審査されることのことです。

なお、今回の取扱いは、専門学校卒であれば何でも認められるわけではなく、認定を受けた専修学校の専門課程の学科を修了し、「高度専門士」の学位を受けた外国人に限られます。

参考:出入国在留管理庁のプレスリリース「外国人留学生の就職促進に向けた運用等の見直しについて




ブログランキングに登録しています。
応援してくださる方は、こちらのクリックをお願いします。
にほんブログ村 士業ブログ 司法書士へ にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ 司法書士ランキング 行政書士ランキング


ゼヒトモ内でのプロフィール: 司法書士・行政書士 津田リーガルオフィスゼヒトモの行政書士サービス仕事をお願いしたい依頼者と様々な「プロ」をつなぐサービス