成年後見人の一時利用可能に、法制審に諮問 現在は終身
小泉龍司法相は13日の記者会見で、認知症などの人に代わって財産管理を担う成年後見制度の見直しを15日の法制審議会(法相の諮問機関)総会へ諮問すると表明した。

一度選任すると原則として亡くなるまで利用をやめられない現行制度を改め、期間限定で選任できる仕組みなどを検討する。法制審での議論を踏まえ、2026年度までに民法などの関連法改正を目指す。

成年後見制度は判断能力が不十分な人に代わって後見人が預貯金の管理や契約を支援するもの。悪徳商法から保護する目的もある。親族のほか司法書士や社会福祉士、弁護士といった専門家が後見人に就く。

いまは判断能力が回復しない限りは利用をやめることができない。後見人の著しい不正がない限りは解任もしにくい。専門家を後見人にする場合は毎月数万円の報酬を払わなければならず負担が重いとの指摘を踏まえて見直しを検討する。

後見人が支援する行為の範囲を限定することも論点となる。いまは日常的な買い物や旅行から財産管理まで包括的な活動が対象となる。必要とする支援の範囲を事前に定めたり、状況によって後見人を交代できたりする制度を導入する案がある。

例えば、日常的な行為は本人の決定に任せつつ、財産管理のときは弁護士、福祉施設へ入居する際は社会福祉士に依頼するといった形だ。

厚生労働省によると成年後見制度の利用者数は2022年末時点で25万人ほど。認知症患者が25年には推計700万人以上になるのと比べて利用が広がっていない。

認知症患者は今後も増えていく見通しで、政府は成年後見制度の普及を急ぐ。利用するための経済的な負担を減らし、柔軟に選任できるようにする方向で制度の使いやすさ改善を探る。

(日本経済新聞 2024年2月13日 8:39)

成年後見制度とは、家庭裁判所に選任された後見人などの法定代理人が、認知症等で判断能力が失われた人や不十分な方を代わって、契約などの法律行為を行うにより、ご本人の法律行為を補完するものです。

特に不動産取引の場において、所有者ご本人が認知症などで意思能力を失っているケースなどでは、我々司法書士は、契約の実体が存在しないものとして、取引を中止させる判断を下したりします。

このようなことが想定される場合、事前に後見開始の審判を家庭裁判所に申し立て、後見人を家庭裁判所に選任してもらい、ご本人に代わって後見人が取引を進めていくことになります。

このように、すでに意思能力が失われた方のために後見開始の審判を申し立てる場合、後見人は家庭裁判所が定めるため、申立人となった親族が選ばれるとは限らず(特にご本人の財産が多い場合)、司法書士などの専門職が後見人として選ばれる可能性があり、この場合、ご本人の財産から専門職後見人の報酬を支出します。

また、成年後見人は、後見開始の審判が取り消されるか、ご本人がお亡くなりになるまで任務が継続するため、特に後見人に専門職が選ばれた場合、毎月数万円の報酬を継続的にご本人の財産から支出していくこととなり、経済的な負担が長く続くケースもあるため、後見制度の利用に二の足を踏む方も多くいらっしゃいます。

このような懸念を親族が感じている場合、家庭裁判所の運用レベルで、後見制度支援信託を利用することを条件に、親族後見人と専門職後見人を選任し、専門職後見人が後見制度支援信託の準備が完了したら辞任するという形で、専門職後見人への報酬が長く続かないようにする工夫がされることがありました。

今回、法務大臣から法制審議会への諮問にあたり想定されているのは、遺産分割協議の当事者の一部に意思能力を失った方がいるようなケースで、遺産分割協議については専門職が成年後見人を選任し、それ以外の部分については親族が成年後見人となり、遺産分割が終わったら専門職後見人は辞任するという方向で検討されているようです。

なお、成年後見人はご本人のための代理人であって、依頼者となるご家族のご意向通りに業務を行うわけではないことに注意が必要です。
遺産分割協議では、ご本人の権利を保全するため、最低でも法定相続分相当の相続財産を承継できるような態度で、遺産分割協議に臨むことになります。



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